光ってるわい街が

散歩日記とそうでない日記

晩ご飯の事しか考えられなくなるとき

散歩日記(1480字)

5月4日火曜日みどりの日。
誰もが遠出をしにくかったこのゴールデンウィーク、それは電源を落としたテレビから観光業の悲鳴が聞こえてきそうなほど。本来、大学生である自分も大型連休に狂喜乱舞しているはずだったが、遠隔授業になり休みのような毎日を普段から送っていたためか、あまりゴールデンウィークのありがたみを感じられなかったのである。
もちろん授業が無いと時間がそこそこできるので、いつもより長くTwitterをしたり、難しそうな本に挑戦してみたり、気が向けば散歩に行くなどした。

自分は、夕日に照らされる街が森羅万象の何よりも好きなので、天気がいい夕暮れ時に散歩に行く事が多い。いつも「日が沈む前に出なきゃ!!!!」と、どたばたと着替えている。この日もそんな調子で散歩に出た。



歩いた 

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いいね

歩いていると早速いい感じのものが。自然と文明は入れ子状態になっているという話を知識のある友だちから聞いたがこういう事だろうか。多分違うんだろうな〜
歩いていると、時期らしくすずらんが咲いている家も多い。植木鉢が等間隔に並んでいた家の植物たちはなかなか見応えがあった。その直後に地面から直接生えて咲いているすずらんを見つけ、かわいさの根底にある力強さを感じるなど。

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川の使い方が上手だなあと思った、ゴミ箱の収まり具合もきれい。
ただ、この鉄板みたいなやつの上に乗るの絶対怖い。ここに立ったまま何か買い、その場で飲み干している人がいたら、おっ度胸あるなと思う。もちろん自販機設置者もそんな図太い人を見越してのゴミ箱であろう。


いよいよ日が沈みそうなので、ぼちぼちと帰ることにする。
自分の住んでいる街はいわゆるベッドタウンだ。でもそのお隣の県は"THE大都会"のような都市ではないため、街には心地よい静かさが漂っている。この静けさがとてもいい。電車の音が遠くまで届くし、鳥の声や、都市では埋もれてしまいそうなものたちがちゃんと見えている。

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最高。
この日は普段あまり行かない住宅地を通れたのでたいへん満足した。



家が近くなってきた頃、どこからか魚の匂いがしてきた。誰もが経験した事があるぐらいの夕方あるある、だ。
この人の家の夜ご飯の匂い、自分の場合だと圧倒的に焼き魚の匂いに出くわすことが多い。魚の匂いがよく届くのだろうか。たまたまかもしれないがカレーでさえもあまり匂いがしたことがない。たまたま自分の近所の人が魚好きなだけかもしれないが、人によって全然出くわす匂いは違うのだろうか。もしかして高級住宅地を通るとおいしそうなお肉の匂いがしてくるのだろうか。

などと考えて歩いていたら焼き魚の匂いが強くなってきた。やはり魚の匂いは気付きやすいのかね、と理屈ゼロの仮説ができはじめる。それにしてもお腹が空いてくるなあと歩いていると、なんと七輪で魚を焼いているではないか、それも庭で。
中学校の体操服ジャージを着たお姉ちゃんがうちわで火を調節しながら魚の面倒を見ている。部屋で食卓につく両親とはしゃいでいる弟の様子が遠目に見えた。

なあるほど道理で今日はこんなに焼き魚の匂いが強いわけで。
これはいいゴールデンウィークを見た。七輪だったり魚だったりと、おうちバーベキューにしないあたり何かこだわりを感じさせていい。お姉ちゃんが熱心に焼いている姿も素敵であった。
この後、ゴールデンウィークらしいこと少しはすればよかったなあと、後悔し始めたのは言うまでもない。そして無性に七輪が欲しくなったのも、晩ご飯が焼き魚であれと願ったのも、そういう時は大抵希望通りにはならないのだ、ということも、もちろん言うまでもない。